学部学科選び入門 Part-3
教育学系統~教育、教育文化、教育人間科学部など~
この系統は、教員養成の学系とイメージしがちですが、学びのフィールドはそれだけにとどまりません。いじめや少年犯罪など、深刻化する教育問題や、生涯教育に代表される新しい教育ニーズへの対応など、近年、教育の多様化が進んでいます。
●教員養成課程と総合教育課程
教育学部は、国立大学に設置されている場合が多く、カリキュラムは、教員を養成する伝統的な課程と、多様な視点から教育をとらえる総合教育的な課程に大別されます。
教員養成課程では、小・中・高等学校および特別支援学校、幼稚園の教員免許取得を目指します。高等学校教員免許は通常、中学校教員免許と連動して取得できます。
この課程では、「英語」「数学」などの専門教科に沿って専攻が分かれています。専門教科を学ぶ科目と教育史や教育制度などを学ぶ教職専門科目を軸に展開され、3、4年次には必修として学校などの教育施設で教育実習を行います。また、小学校と幼稚園の教員を養成する初等教育や、特別支援学校の教員を養成する障害児教育では、さらに専門的な科目の履修が必要とされています。
他学部でも、大学が設置する任意の教職課程を修了すれば教員免許を取得できますが、教育系学部ではより専門的かつ効果的なカリキュラムが組まれ、最先端の授業科目を受けることができるので、教員を目指す人にとっては最適な学部だと言えます。
初等教育の分野では、小学校教諭、幼稚園教諭のほかに、保育士の資格も人気があります。学部・学科は、生活科学、子ども、人間社会、社会福祉などさまざまですが、いずれも子どもや子どもを取り巻く環境を総合的に考察する人間科学的な色が濃いようです。
教員免許取得後は、教員採用試験に合格し、採用候補者となって採用を待つことになります。ここ数年、教員不足となる自治体が増え、教員の採用枠は拡大しています。
また、法科大学院と同じように、高度専門職業人の養成を目的とした専門職大学院に、教員養成に特化した教職大学院があります。教職大学院では、大学卒業者を対象に、実践的な指導力・展開力を身につけ、即戦力となる教員を養成するとともに、現職教員に対しても、確かな指導理論と優れた実践力・応用力を養い、スクールリーダーとなる人材を育成します。
標準修業年限は2年間ですが、教員経験者対象の1年コースや教員免許状を持っていない人向けの3、4年間の長期在学コースを設置している大学もあります。
●高齢化社会を迎え、注目を集める生涯学習
一方、教員養成を第一の目的としない総合教育的な課程には、「総合科学課程」「人間発達科学課程」「総合教育課程」などさまざまな名称があります。文系、理系の垣根を取り払い、幅広い知識を身につけて、柔軟な思考能力を備えた人材を育成しています。また、この分野は社会の変化とともに新しい領域を開拓しており、「国際」「情報」「環境」「心理」などの課程を設ける大学もあります。
なかでも注目されているのが、「生涯教育」の分野です。今、年齢に関わらず興味あることを学び、豊かな人生を過ごしたいと願う人が増えています。人々の"学ぶ意欲" に応え、地域のカルチャーセンターや通信教育など、生涯学習の場も広がっています。生涯教育課程では、活発化する生涯学習社会をリードする人材の育成を目指しています。また、近年のスポーツ人口の増加に対応し、生涯スポーツに特化する課程・専攻も目立ちます。
学際系統~総合政策、国際、メディア学部など~
現代社会の諸問題は、多様な分野の要因が絡み合って生じています。こうした課題に取り組むのが、複数の学問領域にまたがる"学際" 系統という新しい学問領域です。学部横断型、文理融合型のこの分野は、ここ数年で急速な発展を遂げています。
●学際系統を代表する「総合政策」、「国際」
大学改革に伴う学部再編が進み、複合領域や新しい学問分野を創造、追究する学部が誕生しています。なかでも、「国際」「政策」「情報・メディア」などの分野がここ数年、人気を集めています。
学際系統を象徴するのが、「総合政策学部」です。文理融合の研究テーマを自由度の高いカリキュラムで学びながら、自ら問題を発見し、その解決策を見出す力を養成しています。現代社会に密着した学部にふさわしく、どの大学でも、グローバル化、情報化に即したレベルの高い外国語教育、コンピュータ教育が行われています。
また、21世紀の国際社会で活躍する人材を育てる国際系学部も学際系統の学部のひとつで、政治、経済、環境、文化など、研究分野は多岐にわたります。
国際系学部が語学教育に熱心なことは言うまでもなく、1年間の海外留学を必修とする大学もあります。また、留学制度を充実させたり、海外留学生の受け入れに積極的な大学も多くあります。
そのほか、学際系統の中に含まれる学部として、メディア・情報系、コミュニケーション系、健康系などの学部が挙げられます。この系統は、今後、社会の変化とともにさまざまな様相を見せていくでしょう。
理学・工学系統~理、理工、工学部など~
理学は、人間を取り巻く自然科学の総称で、数学、物理学、化学、生物学、地学、天文学などの分野があります。一方、工学は、理学の基礎知識を利用し、農学、医学などとともに応用科学として、実用的な製品などの開発に役立てられています。最近では、学部・学科の細分化、学際化が進み、より専門的に学ぶことができるようになりました。また、国公立大を中心に、大学院に進学する人も多いようです。
●自然科学の基礎を学ぶ理学
日本では、さまざまな最先端技術の開発が行われており、その水準の高さには定評がありますが、その基礎となるのが理学分野です。
理学は、宇宙、地球、生物、生命、分子、原子、原子核など、マクロからミクロまでの自然や自然現象を対象とした学問です。学問領域は数学、物理学、化学、生物学、地球科学の5つに分けられ、最近では、研究テーマが分野間をまたぐことも多くなっています。
このうち数学は、理系分野だけにとどまらず、すべての科学的思考のひとつの言語として君臨しています。最近では、数学は情報理論の基礎学問として重視されるようになり、コンピュータを使用して、物理学・化学・生物学・地球科学の理論計算、シミュレーション実験にも役立っています。数学科や数理学科、数理科学科のほか、最近ではコンピュータ科学と融合した研究を行う情報数理学科なども注目を集めています。
理学分野の中で、数学と性質が似ているのが物理学です。物理学は、すべての科学技術の基礎となる学問で、自然界に存在する物質の運動や現象を分析し、普遍性と論理性を見出していきます。その成果は電気や電波、半導体、コンピュータ、X線、MRIなどにも応用されています。
21世紀は生物学の世紀だといわれていますが、遺伝子の総体であるヒトゲノム解析がほぼ終了したのを皮切りに、生物学は急速な進歩を遂げています。特に、遺伝子工学や生体工学などのバイオサイエンスやバイオテクノロジーの分野が盛んです。また、生命科学と関連が深く、医学や獣医学、農林・水産学などと連携した研究も行われています。
物理学と生物学の架け橋となるのが化学です。わが国の化学分野の研究は世界トップレベルを誇り、その研究能力は高い評価を受けています。大学で学ぶ化学は大きく物理化学・無機化学・有機化学・分析化学の四つに分けられ、工学、薬学、農学、医学などのあらゆる分野に応用されています。
地球科学では、地球の成り立ちや生い立ちなど、地球に関するあらゆることが研究対象です。地質学・地震学などの地学領域から、宇宙に至るまで、専門に分かれて学んでいます。人文・社会科学と連携し、地球規模の問題を分析・解明し、環境と調和を保つ方法も模索しています。地学科や地球学科、地球環境学科、環境科学科、地球惑星科学科など、各大学独自の学科も少なくありません。
●理学を応用し、社会に還元する工学
理学を応用し、人間社会を豊かにする役割を担うのが工学です。
工学系の中で最も歴史がある機械工学はものづくりを基に、快適な社会生活を追究する学問です。最近ではリニアモーターカーや知能ロボットなど、最先端の研究が行われています。ほとんどの工学部に設置され、ロボティクス学科、機械・航空工学科など、研究対象をより明確にあらわした学科に改組する大学も増えています。
機械工学と密接に関わりあっているのが電気電子工学です。現代社会に欠かせないこの分野はエネルギー、情報通信、回路・システム、デバイス・材料の四分野で構成され、電気や磁気、電子を利用して、人間社会で必要な技術の開発が行われています。
電気電子工学と近い関係にある情報工学では、実験と実習を重視したカリキュラムで、コンピュータのソフト・ハードの両面を学び、IT社会で活躍できる人材を育成しています。
人気の高い建築学は、建築設備や建築構造など、建物に関する基礎的な知識とともに、環境や経済、歴史にまで素養を広げて学びます。また、芸術的センスも必要とされます。工学部や理工学部に設置されている場合と、女子大を中心に、家政学部や生活科学部、芸術学部などに設置される場合があります。
建築学が建物を対象としているのに対し、土木工学は、人間が安心して社会生活を送れるように環境を整備し、文明の基礎を築く役割を担います。最近では、土木工学科のほかに、都市建設工学科、都市環境デザイン学科などに名称変更する大学も増えています。
また、工学の中で新しい領域として注目を集めているのが、バイオ工学や医用工学系の分野です。これは、バイオサイエンスと工学を融合させた分野で、創薬や再生医療、遺伝子治療など、応用分野は多岐に渡っています。
このほか、さまざまなモノを構成する材料に焦点を当てた材料工学、情報技術や数理技術を学ぶ経営工学、資源・環境の課題に取り組む資源工学や環境工学などさまざまな学問領域があります。
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